リールをバラす。~アンタレスDCMDオーバーホール~ その2

前回の分解段階で判明した、アンタレスDCMDのベアリング破断。原因ははっきりしないが、少なくともハンドルを回した際の違和感はこの破断と関係がありそう。

リールメンテナンスは中断する羽目にはなったが、問題が明確化したのは不幸中の幸いという所。今回は、問題解決の顛末とメンテナンス結果について綴る。

部品調達。

ベアリング破断が判明したのは良かったとはいえ、無論事前に予備パーツが手元にある筈は無い。何はともあれ、壊れたベアリングの代替品を調達しなければ話が進まない。

先ず思い付いたのは、シマノから純正のパーツを取り寄せる事。シマノダイレクトサービス、もしくはシマノ製品を扱う大手釣具店等に注文すれば確実に入手する事はできる。

Shimano Customer Center
https://www.shimanofishingservice.jp/support/service.php

但しこの方法で注文した場合、部品到着までに結構な日数が必要になる。注文するタイミングにも依るが、以前、某釣具店で部品を依頼した際は大体2週間くらいかかった。オーバーホール実施時は、釣行予定日が迫っていた事もあり、正攻法でオーダーしていたのではとても間に合わない。そんな訳で純正品調達以外の方法を模索することにした。

純正品調達を諦める以上、サードパーティーの互換品を探す他は無い。色々ググってみた所、日本精工の「SMR85A12-H-X1ZZ 高耐食ベアリング キャストップ」という製品が安価且つ防錆加工してあって、代替品としてドンピシャであろう事が分かった。

https://fishing.spider-sw.jp/entry/antaress_maintenance#%E9%8C%86%E3%81%B3%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%9F%E3%83%99%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

しかしながらこのベアリング、(当時は)どこを探しても売り切れ。同じようなニーズが多いのか、はたまた供給個数が少ないのかは不明だが、少なくとも釣行予定日に間に合いそうも無い。という訳でこの案も却下。

因みに、上掲ブログによるとウォームシャフトのベアリングは海水が入ると腐りやすいみたい。アタシの機体も何かのはずみで海水入っちまったんだろうな…

困った果てに辿り着いたのはヘッジホッグスタジオのHRCB-850ZHiという製品。日本精工製品ほどではないが、純正品よりは値段は安い。ヘッジホッグ製品はリールカスタマイズ用品では定評もあり、以前アルデバランBFSの替えスプールを購入した事もある。アンタレスDCMD用とは謳っていないが、サイズはピッタリ、在庫もあり。前回買い物をした時にもらった200円分のクーポンも使える♪これはもう買わざるを得ない、て事でポチる。

HRCB-850ZHi 内径5mm×外径8mm×厚さ2.5mm
https://www.hedgehog-studio.com/product/1331

そんなこんなの想定外の事態でメンテは一時中断となったが、まぁ問題点とその解決法まで分かってよかった。暫しベアリング到着待ち。

オーバーホール再開。

注文から数日経過、ヘッジホッグさんからベアリングが到着。迅速で助かった。古い部品と換装して、具合をみてみる。さぁ良い方に転ぶだろうか。

新しいベアリングは油っ気が全くないので、先ずはグリスアップ。専用工具を使えば簡単。注入しきれなかったグリスは、リール内部に塗ったくって防水加工に役立てれば良い。

この道具、グリス除去にも使えて中々便利よ。

DCユニットのメカニカルブレーキ部にもグリス注入。ココもベアリングが入っているのでね。

グリスアップと並行して、各部位の洗浄もしておく。先ずドライブギアの黒ずみをオイルストーンで取ってみる。前回紹介した動画で、Fishmanのニシニシがやってたヤツ。あんまキレイにならなかったが、まぁ気分の問題ですな。

細かな部品は可能な限りパーツクリーナで汚れを取っていく。ピニオンギアなんかはかなりキレイになった。

DCユニットを止めるビスや、ハッチを支えるスプリングにもクリーナをかけてみた所、細かい砂が浮いてきた。一見汚れて無さそうでも、リール外部付近に装着される部品は、オーバーホール時に念入りに洗浄しておくのが良いかも。

JIMの言う通り「大事なリールはジャバジャバ洗え!」を実践してるんだが、やっぱ海水に触れる部品の汚れは水洗いだけじゃ落ち切らんのかな。

組み上げ。

ベアリング換装と各部品の掃除が終わったら、分解図を参照しながら組み上げを行う。分解時、順番通りに並べておけばこの工程がグッと楽になる。

組み上げと並行して、リール内部に筆でグリスを塗っていく。ベアリングをグリスアップした時の余りをペタペタ塗って行けば良い。こうする事でギアの動作が円滑になり、防水効果が高まる。

当初の目標通り、今回はあまり細かい所までバラさなかったので、比較的組み上げもスムーズだったが、一点苦労したのはクラッチカムの取り付け。

この部品、ビスなどで固定されている訳ではなく、リール本体の穴に凸部分が差し込んであるだけ。また白いクラッチツメは非常に小さく、失くすと憂き目を見るので要注意。

ギヤボックス開けた途端に飛び出る恐れもあるので、慎重に扱った方が良いね。

動作確認。

そんなこんなで苦労しつつも組み上げ完了。さぁドキドキの動作確認。ハンドルを回してみると…

をを、スムーズに回る‼️ キャッホーイ━━━━ (σ゚∀゚)σ ━━━━!!

分解前に感じた妙な遊びが取れて、回した時の違和感がない。非常にシルキーな巻き心地が復活して心地好い。ベアリングを換装した事と、しっかりグリスアップした事が奏功した感じ。いやぁ苦労してもやって良かったオーバーホール。

まとめ。

という訳で、なんとか初期の目標を達成しつつ終わった今回のオーバーホール。少々道具立ては必要だが、やってみると色々メリットがある事が分かった。

  • リールの内部構造が分かる⇒今後のメンテに役立つのは言うまでもなく、内部動作が想像できる事でルアーキャストの改善にも役立ちそう。
  • オーバーホール費用が抑えられる⇒噂によるとかなり高額な手数料が不要になるのはありがたい。
  • 道具への愛が深まる⇒清掃やグリスアップの丁寧さに比例して道具の使い心地が上がる。

実際にはあまり細かい部品まで分解するのはリスキーなので、定期的にはメーカーにメンテを依頼した方が良いとは思うけれど、今回のように不具合をすぐに何とかしたい!なんていう時は自分で修理できると便利。

また、道具の内部構造に触れる事はリールメーカーの技術に直接触れる事にもなる訳で、単なる使用者以外の目線で釣具やメーカーを見直す機会にもなる。オーバーホールやってみて、改めてシマノ好きになりましたよ♥️

おうち時間が増える昨今、是非愛機のメンテ・オーバーホールを自分でやってみる事をお勧めしまーす。

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